2015年6月3日水曜日

悔しい敗戦ですが、応援することをやめてはいけない(2015全仏準々決勝)

残念でしたね。見せ場は作りましたが、とても悔しいですね。
1stセット、そして2ndセット2-5までの錦織は今年最悪の出来でした。それがツォンガを乗せてしまいました。
確か、ウィナー4本に対しエラー25本とかいう数字だったと思います・・・。これではツォンガでなくても勝てない。

そうなってしまった原因は分かりません。風が影響したのは確かですが、それは相手も同じ条件。一旦狂った歯車はコントロールし直すことが非常に難しいもの。あのままでは簡単にストレート負けもあり得ました。

ここで強風によりシャトリエの広告看板が落ち、観客が負傷してしまうというアクシデントが発生。幸いなことに大事には至らなかったようですが、先日のフェデラー戦での観客がコートに入った件に続き、大会のセキュリティ体制が問われる重大なアクシデントだったと思います。

数十分の中断の間、チャンからアドバイスをもらって落ち着いたのか、再開後の錦織は見違えるようにプレーが良くなっていました。が、少し遅かった。4-5まで追いつき、次のゲームも惜しかったが、2セットダウン。「逆転の錦織」とは言え、ツォンガ相手に3セット連取はきついハードルでした。

3rdセット、4thセットとじわじわと錦織ペースになっていたのですが・・・ファイナルセットのツォンガの復活、特に220km/h前後のサーブを連続して叩き込む気合いとフィジカルは凄まじかったです。

バブリンカもフェデラーに勝ちました、この2人に共通するのはグランドスラムでの底力。下位選手に負けることがあっても、ランキングを落とすことがあってもグランドスラムで結果を残す。BIG4を破ったり、敗れたとしてもビッグマッチをやってのける。そこが素晴らしいところです。
錦織もこれからそういう選手になっていかなければならない。なれるはずです。

ここで一旦、技術的な課題を分析してみましょう。前哨戦で浮き彫りになった課題が本日そのまま出てしまったというのが私の見立てです。

1つ目はネットプレー。特にフォアボレーですね。グリップが厚くヘッドが寝てしまい気味な課題があり、面感覚に頼っている印象です。4回戦でもミスを出していましたがストロークで圧倒しているので問題視されませんでした。今日のような1ポイントを争う試合では重要なポイントになりますね。スマッシュは危ない感じもありましたが今日は凡ミス0。風が強い中、よく耐えたと思います。

サーブは、通算確率は60%以上をキープしていて悪くないのですが、ビッグサーバー達より速度が遅いので確率は彼らより高いことが望ましい。特に緊迫した場面での確率を上げ、フリーポイントがもっと欲しい。

最も気になるのがリターンの返球率。ツォンガの剛球サーブが入ってきたら厳しいには違いありませんが、ジョコビッチやマレーはまず触る、触ったらとにかく返すをもっと実践していると思います。彼らより体が小さくリーチの不利はありますので、仕方ない部分はあるかもしれません。となると2ndサーブをもっと確実に返せるようにならないといけません。リターンで攻めているのはよく分かるんですが、確率が低いようならリスクを下げないといけません。「攻めたから良し」だけではだめで、攻めても守ってもいいのでポイントが取れる選択肢を選ぶべきです。特に跳ねるセカンドサーブへの対処法は急務でしょう。攻めていてももったいないと思う場面が多かったです。

あとはフォアハンドへ振られたときの切り返し、バックのストレートが内側に入る(しかも速いのでカウンターがオープンに来る)このあたりでしょうか。

以上は前から言っていることなので、なんとか抜本的な打開策を考えて欲しい。

それにしても今日の結果で分かったと思いますが、やはりグランドスラムは甘くありません。
いつも言っているように「期待できること」と「実現すること」には大きな隔たりがあります。中にはあっさりとクリアする人もいれば、なかなかクリアできない人もいます。そこには運という要素も介在します。一つ言えるのは、確実にその壁をクリアするには、準備段階としてそれなりの実績が必要ということ。マスターズ大会でトップ10選手に対し有利な勝率を維持し、時にはBIG4を破ること。それができて初めて、現実的な優勝候補となりえると思います。錦織は今大会の優勝候補の一人だったことは私も思っていましたが、それはある種の「前提」をおいてのことだったと考えます。すなわち、前哨戦での強さを本番でもしっかり発揮することであったり、直近の成長度合いから類推される現在の「仮想実力」を証明すること、などです。

残念ながら今回の敗戦によりその期待のプレミアム分は剥がされてしまうことになりますが、致し方ないと思います。
ですが、錦織の中身は何も変わってないし、グランドスラム優勝を期待される選手では今後もあり続けます。人は勝ったときには過大評価をし、負けたときには過小評価をする生き物です。全豪、全仏と連続ベスト8は初めてですし、前進は続いています。ウィンブルドンは全仏ほどの期待は集めないと思いますが、その方が却って好結果が出る可能性もあります。

言いたいことは、

過去の対戦成績が良い
体力的なアドバンテージがある
ドロー運がある
ファイナル勝率歴代1位

これらは確かに存在しますが、条件でありデータです。
上記の条件がある場合、確かに多少は有利に働きます。
データは好きですし信頼できますけども、それよりも試合当日、その瞬間にそのデータ通りの力を発揮することが最も重要・・・・・・!
自らの体、心で技で実力を証明しないことには先に進めないんです。

各試合の勝率が90%だとしても7回連続して勝つ確率は48%しかありませんし、10%しか負けないとしても実際負けてしまえばそれは100%のようにとらえられてしまいます。
私は今日錦織が負けたからといって錦織がダメだとは思いませんし、次回は逆に全部勝負所を取ってしまうかもしれない。
言いたいのは数少ない対戦結果をもとに相性を語ることや、断片的な条件だけで勝負を断定的に予言することは難しいということです。

負けはしましたし、序盤のプレーはいただけませんが、あの劣勢からあそこまで挽回できることもまたとんでもなく凄いことだということ。
良い結果は常にもたらされるものではなく、数多くの苦い経験の後に、突然やってくるということ。

2008USオープンの前も決していい状態ではありませんでした。
2011年にジョコビッチに勝つまではプロジェクト45も達成できずもがいていました。
2012年ジャパンオープン優勝まで4年間優勝がありませんでした。
2013年はグランドスラムベスト8がありませんでしたが、最終ランキングは自己最高をマークしました。
2014年は2013年にどうしても敗れなかったトップ10の壁を破りましたし、USオープン前はやはり良い状態ではありませんでした。
2015年、素晴らしい成績を残してはいますが悔しい負けも続いています。

どうでしょうか。大きな仕事の前には悔しい時期が必ずあります。
足踏みはあるものの、錦織はまだ後退を知りません。いつとは断言できませんが、いつかはまた我々の期待を超える結果を出してくれることでしょう。

そのときに一際大きな歓喜の輪に入れるのは応援を続けた人のみです。私は応援を続けます。


source : 錦織圭を鼻血が出るまで応援し続けるブログ