今回のテーマは「硬く張って飛びを抑えようとするアイディアは最悪」です。
自分の打球がアウトしてポイントを失うケースが多発すると、ストリングを硬く張って飛びを抑えようと考えがちですが、実際問題として、この判断は良い結果につながらないことが多いようです。
◆飛びすぎると普通は打ち方が変わる
基本的に、テニスプレイヤーは打球をコートに入れようとする生きものなので、ラケットの飛びが良いからといって、それが原因でアウトが連続することは普通はありません。
飛びすぎるラケットでは、アウトを防ごうとしてスイングが萎縮することはあっても、気持ち良く振り続けてアウトが出続けることはないわけで、ある程度経験を積んだプレイヤーであれば、どんなラケットを使っても、そのラケットで打球がコートに入るような打ち方になります。
ほとんどの場合、アウトが多発するのはプレイヤーがしっかり打っているケースであり、客観的に見れば、プレイヤーがアウトするように打っているから打球がアウトするわけです。
プレイヤー自身が強打しようと思って打っていてアウトが出る場合は、ラケットのパワーがあり過ぎという判断は適切ではないわけです。
◆しっかり打ってもアウトしないセッティングは無い
テニスボールは高圧の気体が入ったゴムマリなので、もともと良く弾むようにできています。
なので、かなり硬いもので打っても飛んで行きます。
鉄板で打ってもボールはアウトするわけです。
さらに、鉄板ではボールをつかむことができずに滑ってしまうため、順回転で球筋を抑え込むことができないので
かえってアウトが出やすくなるでしょう。
これと同じことが、スナップバックが発生しにくい硬いセッティングでも起きます。
◆飛びを抑えたストリング・セッティングでは失速する
間違いないのは、飛びの悪いストリング・セッティングでは、打ち出された打球は失速するということです。
飛びを抑えたセッティングでは、当然、ボールは飛んで行かないので、「飛んで行かないボール=失速する打球」ということです。
打ち出された際の初速が速くても、ネットを越える前からグーッと遅くなっていき、最後はポトンと相手コートに落ちるような打球は相手にとっては打ち頃のボールということです。
飛んで行く力が無くなってコートに入っている打球より、バックネットに直線的に突き刺さるような打球が順回転で押さえ込まれてコートに入っている状態のほうが、戦力的に有利であることは間違いありません。
◆運動効率を悪くするセッティング
勝つことを最優先に考える場合は、ラケット+ストリング・セッティングに関しては、運動の伝達効率が最も良くなる状態を探すことが物理的に正解であることは間違いありません。
なぜなら、伝達効率が悪くなれば、プレイヤーの運動量が増して打球の勢いが弱まるからです。
長時間に及ぶ試合で勝ちたいと思えば、少ない運動量で勢いのある打球を打ち出せる状態が最善であることは間違いないでしょう。
でも、多くのハードヒッターが選ぶのは飛びを抑えたセッティングです。
つまり、「伝達効率が悪い=運動効率の悪い状態」を目指すわけです。
ラケットが合っていないと打球衝撃が強いので、⇒その影響で「力を入れて打つ状態」になりやすいのですが、⇒力を入れて打つと打球がスッポ抜けやすくなるので、⇒それを防ごうとしてハードなストリング・セッティングになって行く、というような負の連鎖があるようです。
◆柔らかくてもダメ
硬く張って飛びを抑えようとするのとは逆に、柔らかく張ることで、できるだけ少ない力で返球しようとするのにも問題があります。
なぜなら、柔らかく張っても飛びは悪くなるからです。
柔らかく張ると当たった感触が重くなり、そこでボールを持っている感じ(ホールド感)が強くなります。
インパクトで生まれる感覚は、それがどんなものであっても、ただの伝達ロスなので、ホールド感が強ければ強いほどスッキリ出て行かない状態になって運動効率としては良くありません。
◆萎縮が無くなるところまで
しっかり打っていないのにアウトが多く、スイングが萎縮していると感じる場合は、フレーム選びに問題がない場合はストリング・セッティングで何とかできます。
(実際問題として、フレーム自体がオーバーパワーである場合はストリングでできることは限られます)
ただ、張りを硬くするのにも程度が合って、やって良いのは「スイングの萎縮が無くなるところまで」です。
(実際問題として、フレーム自体がオーバーパワーである場合はストリングでできることは限られます)
ただ、張りを硬くするのにも程度が合って、やって良いのは「スイングの萎縮が無くなるところまで」です。
それ以上に硬くすると、今度は力を入れて打つ状態に入っていきます。
ただ、こうした運動の変化を自覚するのは難しいので、やはり他人に見てもらうほうが間違いが少ないでしょう。
次のテーマは「張りの硬さとスナップバックの関係について」です。
source : 合うテニスラケットを選んで戦力アップ