2015年9月2日水曜日

「無意識的な運動」ってナニ?

「自分は無意識的な運動でボールを打っている」と思っているテニスプレイヤーは、現実にはとても少ないようです。

でも、このことをきちんと理解するかどうかで、テニスに対する取り組み方は180°変わります。

努力しても、なかなか結果が出ないと感じている方は、ぜひ、読んでください。

●「プレイヤーが無意識」ということではない

多くの方は、「無意識的な運動」などと急に言われると、「自分がプレーしているときは、当然、意識がしっかりあって、ボーッとしたり、無意識になることなどない」と思うかもしれません。

こんなふうに、「無意識」というと普通は「意識が無い状態」のことを想像しがちですが、「無意識的な運動」というのは「運動が無意識」なのであって「プレイヤーが無意識」ということではありません

「プレイヤーが無意識」の場合は、それこそちょっと危ない状況ですが、「無意識的な運動、あるいは、行為」は日常的に普通にあることです。

●歩くのは無意識的な運動

考えごとをしながら歩く場合、歩くという行為は無意識的に行われます。

動作に気をつけながら意識的に歩かなくても、足を前に出すのを忘れたりして歩くのに失敗する方は少ないので、誰でも考えずに無意識的に歩けますが、そのおかげで他のことを考えられるわけです。
 
でも、歩きながら考えている人には、当然ですが、ハッキリした意識があります。

ボールを打っているプレイヤーにも、当然、ハッキリした意識はありますが、ボールを打つという運動は(上級者の場合は特に)「無意識的なアクション」であることが多いようです。

なぜなら、飛んで来るボールを打ち返す際の運動は、本人が考えているよりずっと複雑で難しいのですが、プレイヤー自身がその難しさに気づかないのは、文字どおり「無意識的な運動」だからこそなのです。

無意識にやっていることの内容は、無意識なのでよく覚えていないわけです。

●意識するとうまくできなくなる

歩くときには、前に出した足への体重移動が必要ですが、「今、体重移動をしよう!」などと考えながら歩いている人は、まず居ないでしょう。

そして、体重移動のタイミングを気にしながら意識的に歩こうとすると、ギクシャクした動きになってスムーズに歩けなくなるはずです。

ということは、歩くという行為は、意識的にやろうとするとうまくいかず、無意識的にやったほうが良い結果につながるわけです。

実は、こういうことは結構たくさんあって、考えずに何気なくやっているときはスンナリとスムーズにできるのに、気を取り直して意識的にやろうとすると、やり慣れているはずなのに「あれっ、どうやるんだっけ」と手順がわからなくなって、アタフタした経験をお持ちの方も少なくないでしょう。

顔を洗ったり、ヒゲをそったり、服を着替えたりとかの、毎日、定番的にやっていることの多くは、次にどうするかをしっかり考えてやらなくても、気がついたときには、知らないうちに終わっている、ということが多いのではないでしょうか。

ネクタイを締めるときなども、最初からきちんと手順を考えながらやろうとすると、普段の倍以上の時間がかかって、しかも、きれいな仕上がりにならなかったりします。

試合でミスが重なったときに「大事に返そう!」などと考えると、身体の動きがギクシャクしてミスを連発したり、打ち方がわからなくなったりすることがありますが、これも同じような仕組です。

●同じことを何度も繰り返せば考えなくてもできるようになる

「自分の行動はすべて自分の明確な意思に基づいている」と考えている方にとっては、「無意識的な運動」などという言葉を聞くと、なにやら、うさん臭い気がするかもしれませんが、もし仮に、すべての行動を明確な意思に基づいてやっていたら、一日にやるべきことの半分もできないうちに、頭がパンクしてしまうでしょう。

「やり慣れたことは頭を使わなくてもできるようになる」という「人の脳の便利な機能」を使わずに、全てのことをを考えてやろうとすると非効率になりミスも増えます。

人の脳は省エネ指向が強く、「考える」ということをできるだけパスしたいようで、同じことを何度も繰り返すと、その一連の手順が記憶されて、いちいち考えなくてもできるようになります。

その、「一連の手順が記憶される場所」は、脳の「思考活動に使われる場所」とは別のところなので、思考をパスした自動実行が可能になるわけです。
いわゆる「考えなくても身体が自然に動いてしまう」という状態です。

これが「無意識的なアクション」であり、この省エネ機能のおかげで、人の行為が思考のコントロールから外れて無意識化することで、アクションスピードが格段にアップして、複雑で難しいことでも瞬時にこなせるようになります

考えながらやると動作がノロくなるので、考えずにやったほうが素早くできるわけですが、そのための前提条件としては、「同じことを何度も繰り返す」という過程が不可欠で、これが世間で言う「熟練する」ということです。

車の運転や楽器演奏なども含めて、世の中には、「うまくこなすために熟練が必要なこと」は無数にありますが、その仕組はどれも共通で、なおかつ、シンプルです。
「とにかく地道に繰り返す」しかないわけです。

熟練によって、作業を実行するときに思考の管理を受けなくなり、そのおかげでスピードがアップするわけですが、そういう意味で「熟練・上達=無意識化」はごく普通にあることで、別段、特殊なことではないわけです。

●キーボードは無意識的に打っている

例えばですが、パソコンで文章を作るという作業は「意識的な行為」と考えるのが普通で、頭がボーッとしていてはできません。

文章を頭に思い浮かべるのは「意識的な行為」ですが、でも、思い浮かべた文章をキーボードで打ち込むという作業は、ほとんどの場合、「無意識的なアクション」になっているはずです。

なぜなら、文章を打ち込む際に、毎回毎回、どのキーを押せば良いのかを考えながらやっていたら、いつまでたっても仕事が終わらないからです。

パソコンを使っている方のほとんどは、頭に言葉が浮かべば指が自然に動く状態になっており、そこで、「上から3列目で左から4個目のキーを押そう」などと考えていたら仕事になりません。

「初心者講習会」という言葉を打ち込むには、ローマ字入力ではキーを19回も押さなければならないのですが、こんな言葉を打つのにキー選択を19回も考えながらやっていたら、それだけで結構疲れてしまいます。

ブラインドタッチで機関銃のようにキーボードをたたけるのは、慣れと熟練によるものですが、その「慣れと熟練による無意識的なアクション」のおかげで仕事がはかどるわけです。

パソコンを打っているときの「頭はハッキリしていても手は無意識的に動いている」という状態は、プレイヤーの意識がショットの狙いやゲームの組み立てを考えて、その実行時には身体が無意識的に動いてボールを打っている状態と似ているかもしれません。

●「プレイヤー自身は全く気づいていないけれど、
  実はとても複雑で難しいことをやっている」その内容とは!

そして、テニスプレイヤーがボールを打つ際には、パソコンのキーボードを打つよりもっと複雑な作業をやっているのですが、ほとんどのプレイヤーはそういう認識を持っていないようです。

なので、飛んで来るボールを打ち返すという作業がどれだけ難しいかについて、もう少し具体的に掘り下げてみたいと思います。

テニスは飛んで来るボールを打ち返すスポーツですが、その、打つ前のボールの状態は以下のような4つの要素に大まかに分解できます。

1.インパクトの位置(打点の高さ)
2.打つ前のボールの移動スピード
3.打つ前の移動方向(上昇中か下降中か)
4.飛んで来るボール回転方向と回転量

そして、これらの要素それぞれについて適切に対応してスイングを調整しないと、ショットは成功しません
なので、このうちの一つについてだけでも対応を間違えると、ミスショットになったり、ヘロヘロの打球になったりします。

これらの要素に対してプレイヤーがやっていることを項目別に書かせていただきますので、ご確認いただければ幸いです。

1.打点の高さに応じたスイング軌道の変化
 
2.ボールのスピードに対応するためのスイング調節
 
3.ボールの移動方向に合わせたスイング調整
 
4.飛んで来るボールの回転に合わせたスイング調節

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