2016年3月18日金曜日

テニスのガット張りについて---スナップバック

テニスラケットのストリングは、テニスコートのネットなどと違って、交差するポイントが固定されずに編んだままの状態で張られています。

ですから、縦横のストリングが多少は動ける余地がある状態になっているわけです。

そして、近年はこの「ストリングが動く」ということに注目が集まっているようです。

その代表が「スナップバック」という言葉でしょう。

●スナップバック
ウイルソンのスピンタイプのラケットの登場とともに市民権を得たのがこの「スナップバック」という言葉で、その内容は、「インパクトでボールの抵抗でストリングが動くことでボールがストリング面に食い付き、動いたストリングが戻ることで打球に勢いと回転が与えられる」ということです。

そこに注目して、ストリングの可動域を広げるために縦横の本数を減らしたラケットが「スピンタイプ」というもので、各社から続々と発売されましたが、もうそろそろ下火という状態です。

過去にも、こうしたことはいろいろありましたが、何かに特化したものを作ると、その特化したところではメリットを感じても、それ以外のところで予想外のデメリットが出てきて「やっぱり元のほうが~」という感じで市場から消えていくわけです。

テニスラケットの進化は、画期的な企画によってではなく、小さなステップの積み重ねで進んでいくというのが、これまでの経験則のような気がします。

OSのあとにミッドプラスが主流になるというように、「大きなステップのあとにちょっと戻る」というケースも多いようです。

●スナップバック機能の停止実験
話を「スナップバック」に戻しますが、テニスワンでは、かなり前に「スナップバック機能を停止させた実験」というのをやったことがあります。
プリンス/NXGグラファイトを使ったのでかなり以前の話です。

内容は簡単で、縦横のストリングの交差する点を瞬間接着剤で固定して動かないようにするというものです。

そのラケットで打つと、インパクトでボールをつかまえる感覚が無くなって、ストリング面からスッとこぼれるようなネットが増えます。

そうするとプレイヤーは、ネットを防ぐために上方向に打ち出すようになります。

その上、ボールをつかむ感じが乏しく引っかかりが悪いので、回転がかかりにくくなるため、スッポ抜けの直線的なアウトが出やすくなります。

この実験によって、ストリングが動くことは、打球のコントロールやミスの出方に大きく影響することがわかりました。

●ハードなストリング・セッティング
この実験では、ストリングが全く動かない状態にしたのですが、ハードなストリング・セッティングでは、これと同じことが起きやすくなります。

ポリ系ストリングは切れにくいという理由で選ばれることが多いのですが、摩耗に強いと伸縮性も低くなるのでボールが飛びにくくなります。

それにより、アウトが減るからという理由でポリを選ぶ方も多いようです。

でも、ストリングの伸縮性が低いと、インパクト時のストリングの伸び縮みの幅が小さくなるので、ストリングが動きにくくなります。

ナイロン系ストリングを硬く張った場合も同様にインパクトで動きにくくなります。

ポリ系ストリングを硬く張った場合は、それがさらに顕著になるわけです。

一般的に、アウトを防ごうとしてストリング・セッティングをハードにするケースは多いのですが、そうすると、スナップバックが機能しにくくなるため、打球軌道が上がって回転量の足りないスッポ抜けの打球が出やすくなり、結果的にアウトが減らないということが多いようです。

●ショートラリーでの弊害
ストリング・セッティングがハードだと、軽いインパクトではストリングが動かないので、ボールがつかまらずに面からこぼれやすくなり、コントロール感が乏しくなります。

そういう状況では、ボールをつかむ感じを得るにはインパクトを強くする必要があるため、短い距離に対して強すぎる打球が出やすくなります。

そうすると飛距離が伸びるので、立つ位置が後ろに下がっていくか、強い回転をかけて飛距離を抑えようとします。

その結果、サービスラインのはるか後ろで強いスピンのかかったボールを打ち合うという、およそショートラリーとは言いがたい状態に陥ります。

ですから、ショートラリーのときにサービスラインとベースラインの中間に立って攻撃的に打っている場合、ストリング・セッティングが外れていると判断できます。

サービスラインの内側で打ち合うのがショートラリーであり、それが難しく感じる場合はショートクロスやスピンロブのような「ソフトインパクトのショット」のコントロールが難しいはずです。

強く打たないとコントロール感が生まれないという状態では、一本調子になってバテるのも早くなります。

もっと簡単な例では、ストリング・セッティングがハード側に外れているラケットは球出しの飛距離が安定しません。

硬さが不適切だと力加減で飛びをコントロールしようとするので、球足の深さを一定にするのが難しくなることが多いようです。

●推奨テンションの罪
ここで問題なのは、自分のラケットのストリングが硬すぎる状態になっていることを知らないケースが結構多いということです。

その原因は推奨テンションにあります。

推奨テンションが「50~60ポンド」という記載のあるフレームに48ポンドで張れば充分柔らかいと考えるのが普通だからです。

実際に、女性の方でも50ポンド前後のテンションで張っていることは珍しくはないようです。

その結果、硬すぎることが多いのですが、それが原因で打球衝撃が強かったり、打球が飛ばなかったり、スピンがかからなかったり、スッポ抜けたりというようなことが起きても、「張りが硬いせいだ」とは思うことがほとんどありません。

なぜなら、「自分は柔らかく張っている」と思い込んでいるからです。

そういう意味で、推奨テンションの罪は大きいといえます。

特に、気温の低い時期は、硬すぎる張り上がりが戦力低下と腕の故障に直結する可能性があるため、問題が大きいと言えます。

●知らないと損をする
「スイングウェイト」という数値の存在を知らないことで起きる弊害についても、知らないと損をするという点では似ています。

女性が重量270g、スイングウェイト320のラケットを使っていて、それでボレー・ボレーをすると、当然、すぐに腕が疲れてしまうのですが、自分のラケットは充分に軽いと思い込んでいるので、ラケットのせいだとは思わずに
自分の問題になってしまうのと同じで、

テニスでは知らないと損をすることって意外に多いと思います。


蛇足ですが、ストリング本数の少ないスピンタイプのラケットはストリングが切れるのが早いため、ポリの太いタイプを推奨するケースが有るようですが、それって、ストリングが動きやすいフレームに動きの鈍いストリングを張ることなので、結局、何をしたいのかがわからないやり方だと言えます。

次は「硬く張って飛びを抑えようとするアイディアは最悪」というテーマです。

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source : 合うテニスラケットを選んで戦力アップ