2016年4月4日月曜日

全米の再現ではなくその先へ マイアミ決勝戦プレビュー

久しぶりの展望予想です。
正直今までで一番何を書いていいのか分からない状況です。
大した根拠もないのに今度こそ錦織が……という想いが湧き上がってしまっています。

が、「決して錦織だけを特別視することはしない」という初心に立ち返って、多少厳しめの内容でいきたいと思います。



まず初めに、相手はジョコビッチだということを忘れてはいけません。
圧倒的な強さをみせた昨年の勢いそのままに、今季もドバイのロペス戦を途中棄権した以外は全試合勝利しています。
マレーにも、フェデラーにも、ナダルにも負けていないのです。
ジョコビッチに対する贔屓でも何でもなく、普通に考えれば錦織が勝つ可能性というのは非常に低いと分かります。

ジョコビッチ対錦織と言えば私たちの頭には2014年の全米オープンが浮かびますが、通算対戦成績はジョコビッチの6勝2敗で、過去5戦は全てジョコビッチが勝利しています。

これも言われてみれば当たり前のように感じますが、当時と同じような勝ち方はできません。
完全に挑戦者だった錦織はミスを恐れないプレーで攻め、ジョコビッチの守備を無効化しました。
しかし、あれほどの攻めを少ないミスで続けるのは不可能に近いです。同じプレーをしようとすれば凡ミスの山を築いて自滅します。
全米以降の対戦でも錦織には当時のようなプレーが期待されていましたし、本人もそのつもりだったのでしょう。
攻めに攻める戦術は時に結びつき、セットを奪うこともありました。しかし、3セット続かないそのプレーでは勝てません。ひとたびプレーレベルが落ちれば凡ミスが続き、自滅だとみられるような敗戦も相次ぎました。

そんな流れが少し変わったと思うのが今年の全豪オープン。序盤はサービスからの展開がうまくできていました。リターンゲームでも非常に落ち着いて、着実な攻めをみせていました。
しかし、僅かなミスが原因となってキープできるはずだったサービスゲームを落とすと、またしても凡ミスの山を築いてしまったのです。
期待されていただけに人々の落胆が大きかったのも事実ですが、サーブやネットプレーにも活路を見出そうとし、それがいくらか機能していたこともまた事実です。

今年の錦織は特にネットプレーが進化したと感じます。むやみに前に出るのではないが、出られるときは積極的に出て確実に決める。
正直今大会、準決勝までの内容はデータから見るとそれほど良いとは思えません。しかし、ネットプレーだけは安定していると言っていいと思います。





NET POINTS WONに注目です。
そもそもネットプレーには「5割の原則」というものがあります。詳しくは別の機会にしますが、ネットプレーでのポイント獲得率が5割を超えていれば上出来、という考え方です。
それを踏まえれば錦織のネットプレーというのはしっかり機能しています。

結論として何が言いたいかというと、ストロークでむやみに攻めるのではなく、戦術の幅を見せて欲しいということです。
仮に全米の時のようなプレーが蘇って勝ったとします。しかし、そのギャンブルプレーでは今後勝ち続けることができません。
錦織が世界ランク1位を目指すのであれば、本当に目指すべきは様々な状況に対処できるように戦術の幅を広げることです。今年はそのテニスに近づいています。あとはジョコビッチ相手でもそれができるか、この試合はそれを確認する場であってほしいと思います。

勝敗予想ですがあくまでジョコビッチ勝利ということで。勝ち負けよりも内容に注目したい試合です。






 
source : テニスブログ Hawk-Eye