先日の 錦織圭の本拠地 IMG アカデミー訪問その1 に続いての訪問記その2です。
ところでIMGは、いままで数々のトップ選手を輩出してきました。こちらのIMGのページにその選手たちが錦織圭をトップに紹介されています。
実は、アンドレ・アガシやジム・クーリエ以来、長期でIMGに滞在してきたトップ選手はそんなに多くないんです。特に女子選手は小学生の頃にきても、中学生でWTAツアーをまわり始めたりしますからね。例えばモニカ・セレスは12歳でIMGにきて2年間滞在、14歳でWTAの試合を経験し15歳でプロ転向でツアーをまわり始め、そして16歳で全仏優勝をしています。
上のIMGのページにはビーナス&セリーナ姉妹やヒンギスも入っていますが、彼女たちはほんの一時期滞在していただけです。長期滞在者という意味ではトミー・ハースが11歳から滞在して、18歳でプロに転向、その後もIMGを本拠地にしてきています。もう少し今の選手となるとマリア・シャラポアが9歳から、ロサンゼルスにいる事も多くなった今でもIMGは本拠地の1つになっています。
もっと若い選手になるとライアン・ハリソンの名前がありますが、彼の場合他の名だたるトップ選手に比べるとランキングもまだ50位前後と低めです。にもかかわらず載っているのは、彼の場合は父親がIMGのコーチですからね(笑)。それはもうがっつりIMGです。そう考えていくと錦織圭は日本人の期待の星だけでなく、IMGの期待の星でもあることがよくわかります。名前もそれはトップに紹介しますよね。
そんな中最近契約されているジーニー・ブシャールやジャック・ソックは、詳しい契約内容はわかりませんが、ボクの感覚としては、本拠地としてIMGアカデミーを選んだというより、IMGがエージェント契約をする上で、練習場所としてアカデミーを提供した、という方が近い気がします。なんせ IMG(アカデミーの統括会社)はテニス以外のスポーツはもちろん、いわゆる芸能人のマネージング、そしてイベント企画もする会社ですからね。タイガー・ウッズ、浅田真央も担当してると日本語wikiにありました。よく名前を聞くテニス選手は軒並みIMGがエージェントです。ニック・ボロテリー・テニスアカデミーの影が徐々に薄まってる気がしてちょっと寂しいです。
さて、訪問記に話を移しましょう。
テニスエリアには上の写真のような道を真ん中に何十面ものコートが並んでいます。その1でもご紹介したエディー・ハー用のキャンパスマップが見易いです。マップでは道はちょっと左側に寄ってますね。白い道です。
一番最初の写真は午前中の練習での一場面です。夏休みのこの時期は午前中ドリルを中心の練習をして、午後は試合中心の練習です。フルタイム生が戻る学期には学校があるので年齢(学年)によって差がありそうです。集合して説明を受けて散らばって練習というのは日本と変わりませんね。集合時の立ち方なんて、もちろんなんでもアリです。座り込むもよし。直立の必要なんて全くありません(って今時、日本と言えどそんなのないかな?ありそうだけど)。
ただふとコートを見ると下の写真のような器具が。ジュニアやプロが使ってトレーニングをしてる映像をみたことがありますが、こんな特殊な器具はアメリカでもなかなか普通のクラブでは見かけません。ここの倉庫に行くと色んな道具がまだまだありそうです。テニスチャンネルでよく流れる、ニックが出てくるCMのエーストレーナーもあるんでしょうか?(笑)
そしてその奥に白い柱で立っているのはカメラです。全面ではないかもしれませんが、多くのコートにカメラが設置されていて自分のプレーを画像で確認することができます。ボクは自分自身がビデオ教なのもありますが、こんなカメラはアカデミーにはもちろん、ちょっとしたクラブ、日本ではスクール、そして公営コートにも常設されていたらいいのに、と思います。今は自宅にセキュリティーカメラも自分で簡単につけられる時代ですからね。ま、ボクにはこれがあるからいいんですけどね!(笑)
上の写真は、見た通りのトレーニングルームです。さすがに使う人数も多いので大きいですが、大きさ自体は街のジムでもこの程度は見かけます。器具に関しては詳しく観てないのと知識もないので、どの程度特殊なものがあるのかはわかりませんでした。
ただ、そのトレーニングルームに併設された下の部屋は街では観られません。説明を聞いて始めてわかったんですが、IMGと契約しているゲーターレードの研究施設(部屋)だそうです。運動とゲーターレードの効用や関係をここで調べるようです。確かに多くのトップアスリートが集まってるアカデミーですから、自社に置くよりもここに施設を作った方が研究がし易いですよね。その辺りの、企業と選手たちのつなげ方が、さすがIMGだなと感じました。
またトレーニングルームの奥には医療室もありました。ちょっとしたファミレス程度の大きさはありました。そしてちょうどお昼時だったので練習で痛めた箇所を診療にきているジュニア達がたくさん居ました。ちょっと怪我をしてもすぐに専門家に観てもらえると思うと心強く、思い切りプレーができる気もします。
上の写真は屋根付きのフィールドです。カートに乗ったままでの手抜き撮影でスミマセン(笑)。昼間暑いので、トレーニングを日陰でやっている感じでした。こことは別にインドアのテニスコートがあってそこでは丁度、ニックが元気に子供達に教えていました。孫に囲まれた楽しそうなおじいちゃんという感じでした(笑)。
そして上下の写真が食堂です。以前メディアで観た記憶があるんですが、その時のイメージで結構な大きさがあると思っていました。大学の学食のような。ところが実際にみると結構こじんまりとした大きさです。日本にあるファミレスかそれ以下、というサイズ感です。落ち着いて考えてみれば日本の総合大学のような生徒数はとてもいないので、これで十分なのかもしれません。雨が降らなければ外で食べても気持ちがいいですし。
メニューも今時の日本の大学なきらびやかさはなく、意外に地味な気がします。下の写真を見ては「やっぱりブロッコリーかー」と野菜嫌いなボクは思いました(笑)。
こちらの食堂はジュニア専用で、大人のクラブハウスは別にあります。そしてこの食堂以外にも、テニスコート横にアイスクリーム屋があったりもして、その辺はなんともアメリカです。
さてここからは再びコート。ハードの他にクレーコートやインドアはあるものの、テニスコートはテニスコートなので見た目は変わりませんね(笑)。
上の写真は丁度午後の練習マッチが始まった頃で、コートの間にあるベンチで以前お伝えした弘岡竜治コーチがジュニア達に「キミは誰々とこのコートで試合」と指示を送ってます。夏休みということもあって、日本人のジュニアも沢山いました。試合が終わればこの辺りに戻って結果報告、次の試合が組まれるのを待ちます。試合中コーチは各コートを周り、気がつくことがあるとその場でゲームを止めて指摘、指導します。試合がおわってまとめて、なんて待ってることはありません。
そして驚いたのは、指導内容にマニュアルなどはないという事。各コーチがそれぞれ自分の指導法を考え、それにそって指導するという方式です。なので、ここで指導を始めた当初は弘岡竜治コーチもなにを教えていいかわからず戸惑ったと言ってました。つまり、ここに滞在する選手もいろいろですが、指導者も色んなタイプがいるということです。各コーチの質、そして経験レベルが高いからこそできることですね。
午後の練習を横でみていると、1面に2人で試合を始めるので集まっていたジュニア達が急にまばらになってなんとも平和というか静かな空気が流れます。ただ戻ってきて結果を報告するジュニアの言葉を聞いていると、負けた悔しさがにじみ出ていて、静かな中で真剣に勝負が行われているのを感じました。やっぱり負けた時って、負けた瞬間も悔しいですが、その事実を自分で人に伝えその人の反応を見る時がまた格別に悔しいですからね。
毎日毎日、世界中から集まる自分と同じレベルと選手達と試合ができるというのは、やはりここの最大の利点じゃないでしょうか。ボク自身がアメリカでテニスをして思うのは、本当に色んなプレーヤーがいるという事です。そんな選手達と試合をして色んな経験を積んでおくのは、将来世界に出ようと思ったら確実に重要どころか、必要不可欠な体験なんだと思います。午後の普通の練習は夕方このまま終わりますが、その後残って別途プライベートレッスンや練習をする子も多いようです。負けた原因になったところはすぐに直したくなりますからね。
ジュニアは普段キャンパス外にでられません。たまに企画されたアクティビティーで出る事はあってもそれ以外はずっとこの中で過ごします。でも一旦ちょっと外に行けば、やっぱりここはビーチもすぐ近くにあるブレイデントン、そしてフロリダです。一番最後の写真はここの訪問帰りに寄った、ブレイデントンから車で1時間程にある有名なリゾート地、クリアウォーターでの1枚。海水が澄んでましたねー。
IMGは決して超トップだけのアカデミーではありません。逆にここで花咲いてトップになっていくかもしれませんし。夏休みのキャンプも短いものから長いものまで沢山コースがあるので、フロリダの環境と共に、日本の多くのジュニア達に是非一度経験してみてほしいと思います。最低でも将来ネタになりますし(笑)。
代理店に頼むと結構な手数料が掛かってしまいますが、ネットさえあれば、みなさん自分で申し込んでお金をセーブする事もできます。単なる申し込みですからね。そして、IMGも商売、質問があれば丁寧に答えてくれます。なんせボクを丁寧にキャンパスツアーしてくれるぐらいですから(笑)。日本語の資料もいま準備中と言っていたので今頃もうあるかもしれません。サイトは一部強引に日本語になってました。。ヒドいけど。。
付き添いなどが必要であれば、我らがケン庄子コーチや舌隆史コーチも助けてくれると思います。アメリカのコーチはプライベートレッスンが基本なので、スケジュールがフレキシブルですから。相談してみてください。2人ともそういうお手伝いがしたいと常に言ってますし。なんせアメリカで生活してますからこういうときには一番心強いですね!2人ともまぁまぁ英語、うまいですよ(笑)。(N)
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source : アメリカ・テニス日記 from ロサンゼルス・カリフォルニア