2016年11月24日木曜日

テニスガットの張りとプレースタイル

◆好みに合わせたストリング・セッティングではプレーの幅が限定されることがある

前回の記事で、ハードな打ち合いには硬いほうが良くて、遅い打ち合いでは柔らかいほうが良いと書きましたが、そうはいっても、実際の試合では速いボールもあれば遅いボールもあるため、インパクトの強さは毎回変わります。

ですから、速いボールにも遅いボールにも対応できる硬さが欲しいわけで、どちらかに片寄ったセッティングではプレーも片寄ってしまいます。

実際問題として、ハードヒッターは硬めのセッティングを好み、シコリ型のプレイヤーは柔らかいセッティングを好む傾向があるのですが、そうした好み重視のセッティングを選ぶことでプレーの幅が狭められてしまうということがあります。

硬すぎるセッティングを選んでいると、弱いインパクトではボールをつかまえられないので、常に強く打たねばならなくなって一本調子のプレーになりやすいでしょう。

ショートラリー練習が苦手だという場合などはこのケースが多く、そういう状態では、実際のゲームでもショートクロスやスピンロブなどの柔らかいインパクトのショットがあまり選択肢に入らないようです。

逆のケースで、ストリングを柔らか目に張っていると、強いインパクトではストリングの戻りが間に合わなくなり、打球を押さえにくくなるため、コントロール重視の柔らかいショットを多用するスタイルになりやすい傾向があるようです。

バコラーとシコラーはプレイヤー自身の選択ではなく、選んだストリング・セッティングによって自動的に決まってしまうという側面もあるわけです。

◆自分の打球レベルに合ったセッティングを探す

強いインパクトに対応するためのストリング・セッティングと、弱いインパクトに対応するためのストリング・セッティングを、それぞれ別に用意するのであれば話は簡単なのですが、1本でその両方に同時に対応できるストリング・セッティングを探すとなると微妙な調整が必要になります。

そして、インパクトの強さはプロ選手と一般プレイヤーでは大きく違いますが、一般プレイヤーの中でも人それぞれです。

強打のレベルも人それぞれで違うということです。

強打とソフトインパクトのコントロールショットというように言葉上で分類しても、実際のスピードレベルは人それぞれなので、自分が普通に打ったときのスピードを基準にしてセッティングを決めれば、実際の打球がそれより強かったり弱かったりしても何とか対応できる、というような考え方をしてはいかがでしょうか。

自分の強打とコントロールショットの中間に合わせたセッティングにするわけです。

でも、その中間から少しずれて、ハード目に寄ってしまうとショートクロスが入らなくなり、ソフト目に寄ってしまうと打ち込んだショットが押さえ切れずに浮いてしまうでしょう。

ですから、多彩なショットが打てるセッティングを見つけるのは簡単ではないようです。

◆インパクトの強さは自分だけでは決められない

さらに、インパクトの強さは自分だけでは決められず、飛んで来るボールの速度によって変わります。

インパクトはボールとラケットの衝突なので、ボールが遅ければ、その分、インパクトの強さも低下するわけです。

ですから、ハードヒッター同士で打ち合っているときは良いショットが打てているのに、相手が弱いボールでつなげてくると打球が狙ったところに行かずにバラついてしまうのは、インパクトが弱くなるせいでスナップバックが発生しなくなるからかもしれません。

もしそうであれば、女性やシコラーを相手にするときは、ストリング・セッティングを少し柔らかくしたほうが、ボールをつかまえる感覚が復活するでしょう。

いつもの練習仲間の打球は、自分と同じスピードレベルであることが多いので、対外的な試合になると調子が出ないという場合は、相手の打球スピードがいつもと違うことが原因かもしれません。

一般プレイヤーの場合、緊張する試合では身長になって打球スピードが遅くなることが多いので、いつもより遅い打球スピードを前提にしてストリング・セッティングを調整するという考え方もあります。 

◆コートによっても変わる
そしてさらに、インパクトの強さはコートサーフェスによっても変わります。

速いコートは着地後の減速が少ないので、打つ前のボールスピードが平均的に速くなり、その結果、インパクトの強さも増すわけです。

ですから、速いコートは硬めのセッティング、遅いコートは柔らかいセッティングというのが基本です。

自分のプレーが変わらなくても、相手の打球やコートサーフェスによってインパクトの強さは変わるので、それに対応したラケットを使わないと、いつものプレーがしにくくなるわけです。

◆スイングウェイト調整

インパクトの強さに対応するには、ラケットのスイングウェイトにも手を付ける必要があるかもしれません。

ボールの重さは常に一定ですが、飛んで来るスピードによって、そのエネルギー量は変わるので、ラケット側のエネルギー量の基盤であるスイングウェイトを調節する必要が出てくるときがあります。

ハードコートでハードヒッターを相手にするときは、スイングウェイトは重くしたほうが楽ですが、同じラケットをクレーコートでシコラーを相手にするときに使うと、インパクト感がわかりにくくなるでしょう。

◆おサイフと相談

テニスは、相手やプレー環境の影響が大きいので、違う環境で違うプレイヤーを相手にしていつものようにプレーしようとすれば、いつもと違うラケットが必要になるわけです。

当然、選択肢はたくさん用意したほうが、個々の異なる状況に合いやすくなるのですが、たくさんのラケットを用意するのはおサイフが大変なので、どこで折り合いを付けるかということになります。

とりあえず、最低でも2本はないと、比べられないので何が良いのかわかりません。
1本では良い状態から外れていってもそれに気付くのは難しいわけです。

できれば、5本くらいを目安にお考えいただければ、テニスが快適になるだけでなく、テニスワンもとても幸せになります。

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source : 合うテニスラケットを選んで戦力アップ