全国のソフトテニス指導者のみなさま。
こんにちは。NTT西日本の堀です。
今回の投稿は前回からの話から脱線しますが、最後まで読んでいただければ幸いです。
◎歴史や伝統を守り、それを塗り替える使命
我々スポーツ界に身を置く者にとって、嬉しいニュースもあれば、悲しいニュースもあります。最近では日本大学アメリカンフットボールの悪質タックル問題が世間の大きな注目を浴びています。日本大学は私の母校でもあり、日本大学ソフトテニス部で学んだ4年間は私の人生を大きく変えました。そんな母校の不祥事に他競技とはいえ、非常に心が痛みます。
アメリカンフットボール部専用グラウンドとソフトテニス部のコートは隣同士で、学生時代アメフト部の練習場に自販機があったのですが、休憩中にジュースを買いに行ってはアメフト部の激しい練習に感心していたものです。アメフト部に友人はいませんでしたが、部外者をはじめ、我々学生が近づいても「こんにちは!」と大きな声であいさつをしてくれ、「アメフト部は規律がすごいな~」と思っていました。
学生アメフト界の雄として、歴史や伝統があり、それを守っていくこと、歴史を塗り替えていく使命が全体のモチベーションになれば良いのですが、どこかを境にモチベーションよりもプレッシャーが大きくなり、勝利至上主義の体質に変化していったのかもしれません。早急に意識・体質が改善し、学生たちが夢に向かって突き進めるようになってほしいと一大学OBとして願っています。
こういった事が起こるたびに、同じスポーツ集団として考えさせられます。私は選手にチームの“部則”のひとつとして、「チームメイトや相手をリスペクトすること」を挙げています。
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◎コミュニケーションの重要性
例えば、ソフトテニスは団体戦であっても、個人対個人の戦い。ベンチや応援団が“声援”ならば良いが、相手を心理的に追い詰めるような“ヤジ”を飛ばさないこと。それから、相手は「打倒NTTで向かってくるチームもある。だけど、週末しか練習していなくてNTTと対戦できるのが楽しみ、嬉しいというチームもある。もしかしたら、NTTの選手より技術的には劣るかもしれない。だからといって、手を抜いたり、ましてやヘラヘラしてなめた態度で試合をするというのは同じ競技を愛する者をリスペクトしていない。そんな選手はたとえ優勝するような選手だとしても、応援される選手にはなれない。
周りから応援されないのであれば、実業団選手として活動する意味をなさない。というようなことを伝えたりします。幸いなことに、それをすんなり理解してくれる選手ばかりなので助かっていますが、日大アメフト部の問題などをみると、選手と監督・コーチのコミュニケーションの重要性をつくづく感じます。
私は「恐怖による指導は一過性でしかない」と思っています。時代も変化しています。人(指導者)も変化しなくてはいけません。厳しく接する場面も時にはあるかもしれませんが、選手が監督にものも言えないようなチームというのは時代錯誤のような気がしてなりません。
先日、とある試合会場で心苦しい場面に出会いました。監督さんはドカッと自分専用の椅子に座り睨みをきかせています。生徒たちはベンチをチラチラ気にしながら試合をしています。私が見る限り、生徒は相手と戦っていません。怒られないか?という表情でテニスをしていました。プレー自体も全く溌剌としていません。当然ですよね、心底相手をリスペクトし、立ち向かっていってないのですから。ベンチと戦っているのですから。
私はそれを目の当たりにしたときに、まだまだソフトテニス界もこういった指導が主流なのかな。監督が絶対で、監督の意図するプレーだけを忠実に行おうとする・・・本当に大好きなソフトテニスが心底楽しいのだろうか?と悲しい気持ちになりました。
学校で先生というのは親代わりです。私もチームのみんなとは家族以上の時間を共に過ごしていますから、家族のような気持ちです。監督が親代わりというくらいの気持ちであるならば、選手の真後ろで自分専用の椅子にドカッと座るのではなく、陰ながら見守ってあげるというのが本来の姿ではないでしょうか。だって、“親”という字は「木の陰に立ち見守る」と書くのですから。
自分は大人(監督)で生徒(選手)よりも偉いという感覚は無くしたほうが良いと思います。
そういった指導者は自分の考えを押し付け、自分以外の考えや指導法に否定的になります。
当然、他を認めませんから、文句や愚痴が出ます。そういった監督には「自分たちのテニスが絶対的に正しい、他は間違っている」という、自分たちの世界に閉じこもった選手しか育ちません。何かあれば文句や愚痴が先に出る選手しか育ちません。自分を成長させてくれるチャンスが身近にたくさんあふれているのに!!
「生徒・選手は指導者の鏡」なのです。指導者が絶えず視野を広くし、常に自分を変えていく姿勢があれば、選手もそういった選手になっていきます。
先日、合宿をしていたら、とある選手が、「堀さん、この本知っていますか?」と言って本を持ってきました。松下幸之助の“道をひらく”だったのですが、私は、「知ってるも何も、俺を変えてくれた本だよ。必読書だよ。良い本読んでるな。俺の息子の名前もこの松下幸之助からとったんだ!」という話で盛り上がりました。
私はその選手が本なんて読まないような選手だったので、色々な事に触れて自分を変えていこう、自分のプラスにしようという姿を見て嬉しくなりました。
『自分の考えをブラさない』ということは非常に重要ですが、自分の考えに“厚み”を持たせなければ意味はありません。僕は中学・高校でこれをやって成績が出た、だからこの方法以外は信じない!というのは世界が狭すぎます。指導者も同じく、この指導で実績が出たから、自分の指導法以外は信じない!という考えは危険です。それは自信から自惚れに変わり、良い方向へは向かいません。
ブレない自分になるために、視野を広く、考えに厚みを持たせる努力、『常に変化する』という姿勢を持たなくてはいけません。指導者が率先して示さなければなりません。
日大アメフト部の問題は色々な事を気付かせてくれます。強烈なリーダーシップやカリスマ性・権力を振りかざすのではなく、リーダーシップとフォロワーシップのバランス、監督は選手を、選手は周囲をリスペクトすることが大切です。
私も指導者として人間として、まだまだ未熟者。全国の指導者の皆様、悩みながら、壁にぶち当たりながら、生徒・選手と付き合い、良いチーム・選手を共に育んでいきましょう!
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source :
ソフトテニス・オンラインBlog