2018年10月23日火曜日

【コラム】中本・鈴木へのやまないエールと、船水・上松のすごみ(1)~2018全日本選手権より

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2018年大会を大いに盛り上げた、中本・鈴木(福井県庁)ペア


2018年の全日本選手権が終わった。

今僕は、かなりの、全日本選手権ロス、だ。

久しぶりに「取材」というか、ほぼ「観戦」なのだが、現地に足を運んで、本気のやつらの、本気の試合をナマで見たのだけど、やっぱり面白い。

男子の決勝はワセダの船水・上松のスーパープレーの連続で、歴史的なスピードで勝者が決まったのだけど、決して5-0で「面白くない」なんてことはなくて、決勝までに至るそれぞれのペアのそれぞれの試合があって。そのうえで僕たちは決勝の「5-0の現場」を目撃したのだけど、トータルでやっぱり最後まで面白かった。熊本まで行ってよかった。


<男子決勝>
船水・上松(早稲田大) 5-0 中本・鈴木(福井県庁)


僕は今回、思いもよらず、応援したくなるペアができた。男子2位になった中本・鈴木(福井・福井県庁)ペアだ。

彼らの輝かしいプロフィールや、「福井国体」という、彼らにとっての一大イベントが10月に終わった直後だということなどは「情報」としては知っていたけど、僕がしばらく試合の現場に足を運んでいなかったため、失礼なら、ペアを組んでからの2人のプレーをまともに見たことがなかった。

そんな状態で「応援したくなった」というのは彼らを長年応援してきた人たちにとっては、「?」な話しかもしれないんだけど、僕の心が勝手に動かされたので、こればっかりはしょうがない。

2人のプレーは2人ともネットにつく「ダブルフォワード」スタイルだ。前衛としての実績十分な2人が福井の地でペアを組み、超攻撃的なテニスをする。相手の雁行陣ペアは、ペアでベースライン付近まで下がらされ、最後はズドーンと叩かれてジエンドか、しびれを切らせてミスをしてしまう。

(書いておいてアレだが)そんな一般的なほめ言葉はいいとして、僕にとっての彼らの魅力は、ルックスとそれぞれのプレースタイルにある。

学生時代と変わらぬ締まりきった体と、いかにもソフトテニスエリートと言える美しいプレーと広いコートカバーリングでペアをひっぱる中本選手。方や、東北高校、中央大学と輝かしい実績を持つ「すごい」選手でありながら、ウェアをむっちり着こなす感じなど、どこか愛されルックス(失礼)の鈴木選手。「でこぼこコンビ」である。

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試合中、元気よく声をよく出すのは年上の中本選手だし、相手がロブで上を通そうとするボールも多くは中本選手がシュッと下がってほぼミスなくスマッシュを叩き込む(それが役割かもしれないけど)。

でも、このペアに「負けない」安定感をもたらしているのは鈴木選手だ。特にサーブがすごい。キレキレの1stカットサーブをかなりの精度で入れてくる。また、「え、ファースト2回打った?」っていうレベルでセカンドサービスもカットで入れてくる。返球しようとすると中本選手が前にいるので相手へのプレッシャーはかなりのものだ。

ネットプレーでも簡単にミスしないし、特に終盤にかけて厳しい場面で崩れない。エースとなるストローク、ボレーもけっこうある。だから、相手のほうが根負けしてくる。3回戦からずっと3ゲーム以上は取られているけど、こうした「熱戦」になったら2人は強かった。

そんな2人のプレーは正直、見ていて楽しい。「でこぼこコンビ」が、高度にマッチして、強豪ペアを機能させなくし、「熱戦」に持ち込んで、じわじわ追い詰めていくプレースタイルが、面白くないはずがない。ダブルフォワードの試合って面白いじゃん!

準決勝の 中本・鈴木 VS 村田・広岡ペア(NTT西日本)戦は最高の盛り上がりを見せた。どちらに転んでもおかしくなかったゲームを中本・鈴木は5-3で勝ちきった。僕はこの試合が今大会のベストゲームなんじゃないかと思っている。(NTT西日本の広岡選手は試合後、悔しさからか、しばらくずっと泣いていた)

だから、決勝があそこまでワンサイドになることは、準決勝が終わった時点で、想像できなかった。

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<(2)に続く>


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