進級、進学など新しい環境を迎える季節ですが、ソフトテニスの春の風物詩といえばやはり高校選抜。
甲子園も熱いですが、ソフトテニスの春の球宴も負けてはいません。
平成最後のセンバツを制するのはどの高校か?
開催地の名古屋へ。
例年会場となっていた日本ガイシスポーツプラザの改修工事に伴い、今年のセンバツは豊田市にあるスカイホール豊田で開催。
日本リーグなどでお馴染みの会場です。
豊田市は、サッカーJリーグの名古屋グランパスエイトのホームタウンでもあります。
センバツ最終日と重なるこの日は近隣の豊田スタジアムでもJリーグの公式戦があったため、駅からスタジアムへ向かうサポーターの人たちが大勢いました。
試合は午後からのはずなのに、朝早くから熱心なファンがいるものです。
ソフトテニスの大会でも、こうやって試合観戦にファンが大挙して押しかけるようになったらどんなに嬉しいか。
いつかそんな日が来ることを妄想しつつ、スカイホール豊田へ。
会場に入ると、選手、応援の熱気がムンムン感じられます。
始発の新幹線で出てきたものの、会場に着いたときには第1試合がスタートしていました。
高校選抜は3日間の日程で開催され、男女ともベスト8に勝ち残ったが学校が最終日の試合に臨みます。
高校生の大会といえばやはり一番の注目は夏のインターハイですが、その夏を占ううえでの試金石となるのがこのセンバツ。
インドアで行われる大会でもあるので、インハイとはまた違った独特の雰囲気があります。
ソフトテニスは、応援の盛り上がりや響く打球音など、会場で生で見ることでより迫力を感じられる競技だと思います。
高校生トップ選手たちによる熱戦を見るためなら、お金や時間をかけてでも会場まで来る価値が十分にあります。
センバツの前哨戦といわれる2月のアゼリアカップ、3月の全国私学を優勝し、今大会でも優勝候補に挙げられる尽誠学園。
今年も鮮やかな黄色いウェアに身を包んだソフトテニス界のカナリア軍団。
センバツでは7年ぶりとなる3度目の頂点を狙います。
その尽誠のベスト4をかけた準々決勝、岡崎城西戦。
地元愛知の大応援団の声援を受け、岡崎城西の選手たちが躍動します。
岡崎城西チームは、前日の3回戦で昨年の準優勝校である上宮にも快勝しており、勢いそのままに尽誠学園との3番勝負にも競り勝って見事ベスト4に進出。
実績や前評判の高さはあれど、同じ高校生同士。
勝負はやってみなければ分かりません。
尽誠学園はベスト4に届かず、夏のリベンジを誓います。
男子準決勝の第1試合は、第1シードの高田商業と岡崎城西の顔合わせとなりました。
過去センバツ優勝11回の名門高田商業。
昨年は東北高校に3連覇を阻まれましたが、今年は全日本アンダー17メンバー5人を擁し盤石の布陣です。
ちなみに、さらに6人の全日本アンダーメンバーたちが、この春新1年生として高田商業へ進学します。
夏にはすべて全日本アンダー選手だけで団体戦が組めてしまいます。
高校日本一を目指して憧れの名門校へ、全国から有力選手たちが集まることは理解できますが、それにしてもおそるべし高田商業・・・。
(矢野・西端ペア / 高田商業)
(中別府・藤久ペア / 高田商業)
その高田商業の牙城を崩そうと、岡崎城西も思い切りの良いプレーで積極果敢に攻め立てて、格上ペアを相手に主導権を握る場面も。
(根木・樋口ペア / 岡崎城西)
実力校同士の見応えのある応酬でしたが、1番2番をともに高田商業が勝利。
決勝へ駒を進めます。
もう一方の準決勝は東北地方のライバル校対決。
羽黒対東北。
昨年選抜優勝の東北ですが、今年はメンバーが代替わりをしてフレッシュな顔ぶれで臨みます。
対する羽黒は、今大会の地方予選でその東北を抑えて優勝しています。
実力伯仲の両校。
互いに1勝ずつあげ、勝負の行方は3番勝負へ。
(白鳥・星ペア / 東北)
昨年のインターハイ個人でも16強入りしている白鳥・星ペアが3番勝負を制して東北が決勝へ。
準決勝で破れた羽黒ですが、主軸の澤田・荒木ペアは、全国私学とこの選抜を通して団体戦では負けなし。
私学個人戦ではまさかの予選リーグ敗退でしたが、間違いなくこの夏を賑わせてくれるであろうヒーロー候補です。
(澤田・荒木ペア / 羽黒)
女子のベスト4には、三重、就実、鶯谷、文大杉並。
昨年のセンバツ優勝メンバーも3人が残り、大会3連覇を目指す三重。
対するは、今年アゼリアカップと全国私学を優勝し、インドア3冠に向け突き進む就実。
総合力では三重かと思いましたが、蓋を開けてみれば0-②で就実に破れベスト4止まり。
反対のヤマからは、文大杉並が鶯谷との3番勝負を抑えて決勝進出。
今年は関東予選でも2回戦で埼玉平成に破れ、関東選抜の連覇記録も11でストップ。
代表決定戦でかろうじてセンバツ出場となった文大杉並。
苦しみながらも全国の決勝の舞台へ上がってくるあたりは、さすが高校女子屈指の伝統校です。
男女それぞれ2面展開で行われた決勝戦。
春の日本一をかけた男子決勝は高田商業対東北。
(山本・池口ペア / 高田商業)
これぞ横綱相撲。
東北高校の実力ペアを寄せ付けず、予想を超えるワンサイドゲームでした。
昨夏のインターハイは、高田商業の個人・団体2冠で幕を閉じましたが、戦力的にはその昨年をも上回る印象があります。
男子は今年も独走態勢の高田商業と、それを追う他の有力校という構図になりそうです。
とはいえ、今回破れたそれぞれの学校にも、個人で見れば高商のメンバーに負けず劣らずの選手たちがいます。
夏に向けて、個々の選手たちのさらなる成長、そしてチームとしてどう仕上げてくるのかが楽しみです。
女子の頂点を争うのは、就実と文大杉並。
(奥田・藤原ペア / 就実)
(石井・吉本ペア / 就実)
ダブル後衛を主体とした平行陣ペアで3ペア揃えた就実。
ただつなぐだけではなく、スライスやドロップショットなど緩急織り交ぜ巧みに相手をゆさぶります。
もともと男子と比べて身体能力にも差がある女子においては、ダブル後衛は有効な戦術でもあります。
しかし、それが三重、文大杉並という強敵を退け、アゼリア、全国私学に続いて三たび頂点に立つというのは正直意外でした。
インドアゆえという面はあるかと思いますが、それでもこれだけの結果を出してくるあたりは非常に完成度の高い平行陣といえます。
女子のダブル後衛や、男子のダブルフォワードなどの平行陣は、見ていてつまらないという声も耳にします。
でも私はそれはそれで戦術の幅が広がり、ゲーム展開が多彩になるという意味で歓迎すべきことかと思います。
昨年のアジア競技大会の男子国別対抗で、台湾のダブルフォワードを相手にダブル後衛メインで完勝した日本代表の増田・上松ペアを見て、進化し続けるソフトテニスの戦術に胸が踊りました。
同じく女子国別対抗で見事韓国を撃破し金メダルを獲得した高橋・半谷ペアのような、ダブルフォワードを戦術に取り入れる女子高校生も今後出てくるかもしれません。
就実は、13年ぶり4度目の栄冠。
今年の女子は就実を軸に夏のドラマが展開しそうです。
平成30年度(2019) 全日本高等学校選抜大会 試合結果
愛知県高体連ソフトテニス部
平成30年度(2019) 全日本高等学校選抜大会 注目動画
男子/決勝戦
第1対戦
中別府・藤久ペア(奈良県/高田商業) 対 白鳥・星ペア(宮城県/東北)
女子/決勝戦
第1対戦
奥田・藤原ペア(岡山県/就実) 対 庄司・西東ペア(東京都/文大杉並)
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過去記事:平成29年度 全日本高等学校選抜ソフトテニス大会
source : ソフトテニス・オンライン