2016年2月4日木曜日

ラケットと冷蔵庫

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ラケットについて考えてみたいと思います。

どうやってラケットを選んでいますか。

ラケットの選び方といっても、考慮する要素はたくさんあります。

現在のプレースタイル(将来なりたいプレースタイル)、現在多く打っている球種(将来打ちたい球種)、技術的(身体的)なクセ、主にプレーする種目(シングルス・ダブルス)、どんなストリングを張っているか、何ポンドでストリングを張っているか、どんな打球感が好きか、反発力重視かコントロール重視か、自分のスイングスピードは速いか遅いかetc.

これらを組み合わせて考え、またラケット同様に考えなければいけないことがあるストリングとの兼ね合いも考えると、それこそ無数に対象となるラケットが出てきます。

こういったことを考えるのが面倒なので、「おススメのラケットでいいです」とか、「上手くなるラケットで」といった、丸投げでのラケット選びをしてしまう方が少なくありません。

その道のプロや専門家にお願いするのが決して悪いとは言いませんが、この場合の多くがお願いされる方を悩ませることになります。


これをちょっと身近な例に置き換えて考えてみましょう。

ここに自宅の冷蔵庫が経年劣化で壊れ、新しいのに買い替えようと決めたAさんがいます。

「今まで使ってたのが使いにくかったわけじゃないけど、また同じの買うのもあれだしなぁ。とりあえず家電量販店行ってみて、そのときなんか良いのがあれば決めればいっか」

ぐらいの感じでお店に行ったとします。

一口に冷蔵庫といっても、1ドアのものもあれば2ドアのものもあり、容量が多いものもあれば少ないものもあり、ドアの開く方向(右開き・左開き・両開き)も様々のものがあります。

「へぇ~今って結構色々な冷蔵庫が出てるんだ~迷うな~。どれが今おススメかちょっと店員さんに聞いてみよ」

「今おススメの冷蔵庫ってどれですか?」

こう聞かれると大抵の店員さんは、「自分が現在良いと思っている冷蔵庫」を薦めるはずです。

でもこのシチュエーションではほとんどの場合、店員さんの薦めた冷蔵庫に対してのAさんのリアクションは、

「ふ~ん、そうなんだ~」

程度です。

この場面で「自分の思ってるような」冷蔵庫が出てくることは稀ですので当然といえば当然です。

で次は、

「他に良い冷蔵庫あります?」

店員さんの頭の中では、

「良い冷蔵庫っつったって、さっき紹介したのが俺のベストなんですけど。。」

なはずです。

この「良い冷蔵庫」の“良い”は何にかかっているかというと、当然店員さんにとってではなく、「Aさんにとって」です。

Aさんの頭の中には、なんとなく「こんな感じの冷蔵庫があったらいいなぁ」というのがあるものの、それを改めて自分でじっくり考えるのは面倒くさい。

だから店員さんに、自分の頭の中にある「なんとなくこれと思っている冷蔵庫」を探し当てて欲しい。

ですので、正確に言うなら、

「私にとって良い冷蔵庫があると思うので、それを当ててもらえますか?」

でも来店早々こう言っても、店員さんはハトが豆鉄砲食らったような顔をするだけで進展がありませんよね。

だから、

「私は現在4人家族で子供が2人いまして、上に食べ盛りの中1の男の子がいて、下に小3の娘がいます。間取りは3LDKなんですがキッチンがちょっと狭いので、スリムタイプでドアは観音開きのものがいいんですけど容量はなるべく多いほうがいいです。こんな私にとって良い冷蔵庫ありますか?」

と言えば、店員さんは「待ってましたぜぇ兄貴ぃ!」とばかりに、その人にピッタリの冷蔵庫を紹介してくれるでしょう。

先ほどの「私にとって良い冷蔵庫ありますか?」だけだと、結局店員さんがこれらの情報を一つずつ聞き出しながら提案していく形になります。

冷蔵庫のカウンセリング、コンサルティングが必要になるわけです 笑

こうなると店員さんは時間もエネルギーも労力も奪われますので、冷蔵庫に関するカウンセリング料金もしくはコンサルティング料金をもらいたいところです。

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お分かりいただけたでしょうか。

ラケットも同様です。

ある程度自分が「ラケットに求めているもの」を明確にしたうえで相談しないと、相談を受けた人の身に負担が重くのしかかり、また自分の本当に求めているラケットに出会う確率も低くなります。

冷蔵庫やラケットに限らず、どんな分野でも「自分が(これに)何を求めているか」を考えるのは面倒くさいし大変な作業ですが、これを普段から考えておけば自分が本当に求めているものに出会う確率は高くなると思います。


ちょっと話が逸れますが、若かりし頃女性との会話の中でよくある、

「夕飯何食べる?」

「なんでもいいよ」

の中に女のズルさを見つけたとき、ハッとしました。

この「なんでもいいよ」の中には、

「私の中ではなんとなくこんなのが食べたいっていうのはあるけど、考えるの面倒くさいし、“これが食べたい”て堂々と言うのはなんかイヤだし。それにもうそろそろ私が夕飯に何を食べたいと思ってるかぐらい分かってもいいんじゃない?さぁ当ててごらんなさい、私の今食べたいものを!」

が含まれていると知ったとき無性に腹が立ちました 笑

この「ご飯何食べる?」「なんでもいいよ」系の会話は、男性にとってはいろんな意味でけっこうプレッシャーです。

なので一発で当てたい衝動に駆られます。

たぶん何回も、「じゃあパスタは?」「じゃあお寿司は?」と言うとなんとなく女性の顔が曇っていくように見えるからです。(これで不機嫌になられるのはどうかと思いますが)

要はこの会話は、「私の今食べたいものはなんでしょねクイズ」なわけで、しかも正解するのが当たり前で、間違えると目の前の女性のテンションが下がっていくという悪夢に襲われるわけで、ハイリスク・ノーリターンな戦いを挑まれているわけです。

だからこれからは優しい笑みを浮かべながら、

「私昨日の夕飯はハンバーグで、今日のお昼はサンドイッチ。本当はお腹空いてるんだけどちょっと体調悪いから、あんまりこってりしたのは無理かも。で知ってると思うけど私トマトと卵が食べれないから、それ以外だったらなんでもいいよ」

と言ってくればこちらとしても当てやすく、また女性としても自分が食べたいものを相手からより引き出せるのではないかと思います。


完全に話が逸れましたが、自分が何を求めているかを自問自答する習慣をつければ、ラケットも冷蔵庫も自分にぴったりのものが見つかるはずです。


source : テニスとコーチング