2016年3月25日金曜日

これだけは押さえたいライン名称解説 ~データを交えて~

今回は基本に立ち返ってテニスコートのライン名称等を解説していきたいと思います。
本当に基本的なことなので必要無い方も多いとは思いますが、テレビ等の実況解説を理解するには不可欠ですし、改めて確認しておいても損は無いはずです。

というわけで早速ライン名称を紹介します。
下の画像はあくまで解説用であって、縮尺等は全くのデタラメですので注意してください。

ライン名称
 
センターマークとセンターラインはそれほどではありませんが、その他は実況解説で当たり前のように使われるので必ず押さえておきましょう。

ここでベースラインについて少し補足します。
錦織のテニスが超攻撃的だとされる理由の一つに、錦織のプレー位置が大きく関係しています。
例えば、「ベースラインの内側に踏み込んでいる」とか、「コートの中に入ってプレーしている」などの解説を耳にしたことがあると思います。 
どちらも同じような意味です。要するに、ラリーの時にベースラインより後ろでボールを捉えているか、前で捉えているかが争点なのです。

具体的なデータも紹介しておきます。昨年のツアーファイナルズのフェデラーと錦織のデータです。


黄色い点はもちろんボールです。フェデラーと錦織がラリー中にボールを捉えた位置を記録し、黄色い点で表しています。
この場合だと、フェデラーの方がよりベースラインの内側に踏み込んでプレーしている、と言えるのです。

さて、このデータはベースラインを基準に考えられています。
ベースライン上を0mとし、それより2m下がった位置に仮想ラインが引かれています。
その他のデータでもベースラインを基準に考えるというのはよくあることです。

では、なぜベースラインより内側でプレーすることが攻撃的なテニスに結びつくのか。

1つは相手の時間を奪えるからです。
同じ球速のボールを打つにしても、ベースラインの内側に踏み込んで打った方が相手コートに届くまでの時間は短くなります。
ボレーと同じような原理です。相手が打ってくる位置を予測して前に詰め、相手が体勢を立て直す前に、走っても追いつけない位置に返球するボレーをストロークに置き換えた考え方です。 

そして2つめは角度のついたショットが打てるからです。
具体的なイメージは下の画像をご覧ください。こちらも縮尺等は全くのデタラメですので注意してください。

ベースライン


ベースライン付近とベースラインの内側に踏み込んだ位置から相手コートのサイドラインぎりぎりに角度をつけたボールの軌道をイメージしたものです。
2次元的に考えればベースライン付近からでももっと角度のついたボールは打てますが、実際には高さのあるネットを超えなければならないので、このような軌道になります。
もっとも、回転量や打点の高さによっては全然違う軌道になることが容易に予想できますが、あくまでおおよそのイメージです。
ベースラインの内側に踏み込んで角度のついたショットを打てば、相手をより左右に走らせてコートの外に追い出し、オープンスペースを作り出すことができるのです。

ここでもう1つデータを紹介しておきます。
昨年のナダルのデータ。インディアンウェルズと上海での比較です。


昨シーズン序盤不調だったナダルはインディアンウェルズでラオニッチに初黒星を喫します。
その後マイアミでもベルダスコに敗れ、クレーコートシーズン以降も低迷が続いたナダルに対し、「もっと攻撃的になるべきだ」との声が多く挙がりました。
ナダル本人もそれは自覚していたようで、このデータはその表れだと考えられます。
もっとも、インディアンウェルズは少し特殊なコートなのでそう単純には比較できませんが、ここまではっきりしたデータならそう結論付けても問題無いと思います。


今回はこの辺で。
ラインの名称についてはチャレンジシステムを解説する際にまた使うかと思います。
次回はATP公式サイトのランキングページを少し解説しようかと思います。
解説、と言ってもpoints droppingとnext bestを掘り下げるくらいですが、よろしければご覧ください。


 

source : テニスブログ Hawk-Eye